認知障害 | ①記憶障害,②集中力の低下,③判断力の低下,④病識の欠落等 |
行動障害 | ①複数のことを同時に処理できない,②マナー・ルールが守れない,③行動を抑制できない等 |
情緒障害 人格変性 |
①自発性低下,②衝動性,③易怒性等 |
自賠責の認定基準 (詳細は下の表もご参照下さい)
対応のポイント
特に,②の意識障害については,早めに医師に,「頭部外傷後の意識障害についての所見」の記載を依頼することが重要となります。
高次脳機能障害は,被害者本人に病気であるという自覚がなく,家族などの身近な人が気付いてあげなければ,見過ごされてしまいまう場合があります。判断力の低下などにより,成年後見等の申立てを行う場合もあります。
また,後遺障害の等級認定に際しては,通常の後遺障害診断書の他に,上記「頭部外傷後の意識障害についての所見」と「日常生活状況報告」が必要になります。後者は,同居のご家族の方が記載するのが原則です。ご家族の方が,事故以降の状況を予め詳しく記録されておくと,後日,役に立ちます。
「事故に遭ってから人が変わったような気がする」など,些細なことでも高次脳機能障害だと疑われる症状があれば,まずは高次脳機能障害に詳しい弁護士にご相談することをお勧め致します。重度の場合,家庭裁判所に成年後見人の選任申立てを行う場合もあります。
自賠責の認定基準はかなり厳しいため,訴訟になる事案が多いのも,高次脳機能障害の特徴の一つです。
当事務所の実績・事例等につきましては,こちらの記事もご覧ください:
80代女性,高次脳機能障害により後見人を選任して被害者請求,要介護1級の認定を得た事例
医師は脳外傷は完治としたが,被害者請求により高次脳機能障害9級を取得した事例
ブログ記事:交通事故による高次脳機能障害 家族の日記
等級 | 障害認定基準 | 補足的な考え方 |
1級1号(要介護) | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの | 身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために,生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの |
2級1号(要介護) | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し,随時介護を要するもの | 著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって,1人で外出することができず,日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄,食事などの活動を行うことができても,生命維持に必要な身辺動作に,家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの |
3級3号 | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの | 自宅周辺を一人で外出できるなど,日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや,介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力,新しいことを学習する能力,障害の自己認識,円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって,一般就労が全くできないか,困難なもの |
5級2号 | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 単純くり返し作業などに限定すれば,一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり,環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており,就労の維持には,職場の理解と援助を欠かすことができないもの |
7級4号 | 神経系統の機能または精神に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 一般就労を維持できるが,作業の手順が悪い,約束を忘れる,ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの |
9級10号 | 神経系統の機能または精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの | 一般就労を維持できるが,問題解決能力などに障害が残り,作業効率や作業持続力などに問題があるもの |
●後遺障害の種類 | ●高次脳機能障害 | ●遷延性意識障害(植物状態) |
●脊髄損傷 | ●眼の後遺障害 | ●耳の後遺障害 |
●鼻の後遺障害 | ●口の後遺障害 | ●上肢(肩、腕)の後遺障害 |
●手の後遺障害 | ●下肢の後遺障害 | ●足指の後遺障害 |
●醜状の後遺障害 |