上図の慰謝料分布は,平成21年~平成27年6月の裁判例の分析ですから,赤い本基準が「2000万円~2200万円」であった当時から,既に,現実の裁判例では,基準を上回る判決がむしろ通常だったと言えます。
年齢層では,①20歳代までと,②60歳代以上が多く,③その中間(30歳代~50歳代)は少なくなります。これは,③中間層では,「一家の支柱」「母親・配偶者」が多くなるためです。
そして,
①20歳代までの死亡慰謝料は,2200万円~2900万円に多く分布していて,赤い本の新基準(2000万円~2500万円)=青い本や大阪基準よりも,高い水準になっています。
他方,
③60歳代以上では,2000万円~2600万円に分布しており,基準に近くなっています。
以上のとおり,
赤い本の基準(2000万円~2500万円)より,実際の裁判例の方が,慰謝料認定額は高額となる傾向にあります(特に若年齢の被害者の場合)。
事案ごとに個別事情が異なりますので,裁判例の具体的な認定内容を掘り下げて理解し,各事案において有利な事情を主張することが重要だと感じます。
(分析/文責:弁護士法人 大阪弁護士事務所 代表 弁護士 重次直樹)