Ⅰ 第5回 全国交通事故シンポジウム

 平成30年7月4日,東京国際フォーラムで,「第5回 全国交通事故シンポジウム」が開催されました。
 当事務所からは代表の重次直樹弁護士と,植田遼平弁護士の2名が参加しました。IMG_2089t783.jpg交通事故(被害者側)で専門家として活動する弁護士が全国から集まりました。悪天候や多忙にもかかわらず,続いて行われた全国企業法務シンポジウムと合わせ,各地から参加した弁護士が,情報交換を行い,専門知識を高めるべく,活発に発表や議論を行いました。

Ⅱ 当事務所の参加と発表内容

当事務所からは,代表の重次直樹弁護士と,植田遼平弁護士が参加しました。
当事務所の発表内容は,以下の1~3です。

1 交通死亡事故と税金 → こちらのページもご参照ください。

 死亡保険金について,人傷保険金の過失割合部分や,搭乗者保険では,非課税とはならないこと,保険料の負担者によって税区分が異なること(一時所得,相続税,贈与税)などを説明しました。

2 最近の交通事故事案(被害者側)

1)保険会社が支払いを粘るケースが増えていること(保険会社の都合に合わせた医師の「意見書」,工学的な鑑定書の提出,紛センでのカルテ開示要求やあっせん提示直前での弁護士選任,訴訟移行の申立てなど)
2)調査事務所が被害者の知らないところで医療照会を掛けて,低い認定をした事例,特に,極めて不自然な関節可動域測定値を提出した事例
3)醜状障害について,紛争処理センターが,「外ぼう障害に係る障害等級の見直しに関する専門検討会報告書」も引用して,労働能力喪失率を14%,労働能力喪失期間を67歳までとして,労働逸失利益を算定した裁決事例

3 前回報告のその後(高次脳機能障害,頚椎症性脊髄症,デグロービング損傷)

1 高次脳機能障害で自賠責が非器質性12級のみ認めた事案の訴訟提起のその後
2 頚椎症性脊髄症(脊柱管狭窄あり事故後悪化の例):類似事案が多く,他にも相談を受けたり,受任したりの状況
3 デグロービング損傷:審査請求の結果が間もなく出る(等級アップの見通しだが,どの程度あがるか不明,原処分は12級)
★主要抹消神経の損傷・麻痺などによる可動域制限は,自動値で認定すべきを,他動値で認定した事例は,取消し多発事案

Ⅲ 他事務所の発表や情報交換等

1 他事務所の発表例
・裁判員裁判となった交通死亡事故への被害者参加事例
・最近の事例報告:CRPSの事例,「下肢RSD症状についての所見」,SBI損保の弁特事例(一般的に払いが悪いという評判が弁護士の間では多い),自身の交通事故被害事件のその後
・他車運転危険特約について,保険会社に免責主張をされた事例
・将来介護費用
・弁護士費用特約,東京海上への弁特請求
・自動車損害賠償保障法に基づく照会の活用

2 他弁護士との情報交換
・当初予定していた準備書面への画像(MRI画像など)の貼り付け,指示説明のやり方については,発表では簡単に触れ,資料で一部,例示しましたが,終了後,他の事務所の弁護士から質問があり,具体的な準備書面の例をiPadで示したり,翌日のメールで作成方法を照会したりしました。
・自賠責調査事務所が,医療機関に働き掛けて,おかしな医療照会の回答書を書かせたり,不自然な関節可動域の測定値を出させたりした事例について,他事務所からアドバイスがあり,今後の参考にすべく,事務所内に徹底しました。